『バック・トゥ・ザ・ボールルーム』 /    リッチー・カミューカ&バディ・テイト  Back to the Ballroom/ Richie Kamuca - Buddy Tate

フランク・シナトラ Frank Sinatra SSJ Presents CD

sinatra society of japan

Frank Sinatra フランク・シナトラ

スタンダード・ヴォーカル、ジャズ・ヴォーカルのトップ・スター=フランク・ シナトラ。
シナトラ・ソサエティ・オブ・ジャパン(Sinatra Society of Japan)は、 1981年12月13日、
シナトラの67歳の誕生日の前日、 つまりアメリカ時間で当日に、 熱心なシナトラ・ファン4人によって設立されました。

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『バック・トゥ・ザ・ボールルーム』 /
リッチー・カミューカ&バディ・テイト
Back to the Ballroom/
Richie Kamuca - Buddy Tate
\2520 (XQAM-1611) 原盤:ディスコメイト
録音:1978年5月17・18日 ハリウッド  
>>購入する 世界初登場

   新発見! レスター・ヤングの糸で結ばれた、ウエスト・コースト派のリッチー・カミューカとテキサス・テナーのバディ・テイトが四つに組んだ異色のテナー・ライヴ。いつになくマッチョなカミューカが刺激的だ。
 


1. Broadway/ ブロードウェイ>>試聴
2. Mack the Knife/ マック・ザ・ナイフ>>試聴
3. You Don't Know What Love Is/ ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ>>試聴
4. Jumpin' at the Woodside/ ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド>>試聴
5. Marianne/ マリアンヌ>>試聴
6. My Funny Valentine/ マイ・ファニー・ヴァレンタイン>>試聴
7. Jumpin' with Symphony Sid/ ジャンピン・ウィズ・シンフォニー・シド>>試聴
 
 


ウエスト・コースト派の好漢 vs. テキサス派の重鎮


 1970年、リッチー・カミューカはL.A.のジャズ・クラブ「ダンテズ」にバディ・テイトを迎えた。これが当夜の記録だ。1950年代に同地の「54ボールルーム」で聴かれた演奏を思わせるということで『バック・トゥ・ザ・ボールルーム』と題された。ウエスト・コースト派の好漢リッチーとテキサス派の重鎮テイト、確かに異色の顔合わせに映る。リッチーが黄色のスポーツカーなら、テイトは鈍色の重戦車だ。つながりはある。レスター・ヤング(ts)だ。リッチーはその流れを汲み、テイトはカウント・ベイシー楽団でレスターと覇を競った仲だった。両者の対照は好評を博す。リッチーとテイトの顔合わせもその延長と見ていいのでは。つまり、異色の顔合わせではないと。ところが、リッチーの様子がいつもと違う。そのスタイルの変遷は白いレスター系(ズート・シムズ、スタン・ゲッツ)から黒いレスター系(ワーデル・グレイ、ハンク・モブレー)に及ぶが、これほどマッチョな演奏はないのだ。テイトに合わせたのか、リッチーとしては異色の演奏になった。


ツー・テナー+今や隆盛のピアノレス・リズム隊

 リズム・セクションはギター、ベース、ドラムスだ。傑作『リッチー』(1976年、コンコード)も同じ編成をとっている。リッチーが率いたレギュラー・カルテットだと思う。

リッチー・カミューカ(1930.7.23-1977.7.22.)
レスター系の第二世代にあたる、ウエスト・コースト派のテナー・サックス奏者だ。スタン・ケントン楽団(1952-53年)、ウディ・ハーマン楽団(54-56年)で頭角を現し、ハワード・ラムゼイのライトハウス・オールスターズ(57-58年)、シェリー・マン・アンド・ヒズ・メン(59-61年)で地位を固めた。リーダー作は1950年代に4枚(リバティ、パシフィック・ジャズ、モード、ハイファイ)、70年代に3枚(コンコード)ある。1950年代は闊達な、70年代は自然で心温まる演奏で魅了した。アンダーレイテッドな名手だ。

バディ・テイト(1913.2.22-2001.2.10.)
ハーシャル・エヴァンスの流れを汲むテキサス派のテナー・サックス奏者だ。1939年、急逝したエヴァンスの後釜としてベイシー楽団に迎えられ、48年までスター・ソロイストを務めた。1953年から74年にかけてはコンボを率いて「セレブリティ・クラブ」に出演する一方で、無数のレコーディングに参加している。1970年以降は欧米を股にかけ、衰えとは無縁の精力的な活動を続けた。安易にホンカーには括れない“品格”を備えた大物だ。

マンデル・ロウ(1922.4.21-)
チャーリー・クリスチャン系のギタリストだ。音源を聴いて自分だと語っている。プリっとしたトーンとコードワークの組み立てはロウと見ていいだろう。レイ・マッキンレー楽団(1945-47年)を経てNBCのスタジオで働き(50-58年)、コンボも率いた。その後は作編曲活動が中心になる。1965年に西海岸に移り、ギタリストとしての活動を再開した。アンドレ・プレヴィン(p)との共演は記憶に新しい。『リッチー』に参加している。

不明ベーシスト
ジェイク・ハナ(ds)はモンティ・バドウィッグかリロイ・ヴィネガーで、ウォーキング系ならヴィネガーだと述べている。謎のベーシストはウォーキング系ではない。渋いベース・ワークからいってモンティではないかと思う。リッチーとの共演歴は多く、『リッチー』にも参加している。

不明ドラマー
候補にあがったハナはカミューカとテイトの顔合わせと聞いて驚く。参加していれば驚くはずがない。「ダンテズ」に出演していたドラマーにはチャック・フローレスと『リッチー』に参加したニック・シリーロがいるが、ドシャメシャなドラミングからいってフローレスのような気がする。


好漢と重鎮がブイブイいわす納得のセレクション

 レスター縁の曲が3曲、スタンダードが3曲、ラテンが1曲となっている。リッチーとテイトが競演した1曲目と7曲目はソロ・オーダーを記しておく。

@ブロードウェイ(リッチー&テイト)
ベイシー楽団の演奏で知名度をあげたスタンダードだ。1940年11月の初演はレスターの名演で知られ、モダン派が盛んにとりあげた。テーマ(32小節、ブリッジはリッチー)→テイト(3コーラス)→リッチー(3)→ロウ(2)→リッチーの先発で4小節交換(3)→テーマ(ブリッジはドラマー)という流れだ。ホンカー流に熱くなるテイト、レスター流の寛ぎで快走するリッチー、クリスチャン流のロウと、スウィングの香りに溢れる。

Aマック・ザ・ナイフ(テイト)
ミュージカル『三文オペラ』の曲だが、ジャズ・ファンにはソニー・ロリンズ(ts)やエラ・フィッツジェラルド(vo)の名演でお馴染だ。ロリンズに触発されたと思しきテイトのタフ・テナーがフィーチャーされ、悠然とした語り口に頬がゆるむ。ロウは低調だ。

Bユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ(テイト)
モダン派の演奏でジャズ・スタンダードになった名バラードだ。ジョン・コルトレーン(ts)、エリック・ドルフィー(fl)、それにロリンズの名演で知られる。引き続きテイトを フィーチャーしたナンバーだ。まるまる吹き通すテイトは男気と優しさに溢れている。

Cジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド(リッチー)
ベイシー自作のジャンプ・ナンバーだ。1938年8月の初演はレスターがソロをとった。もちろん、リッチーがフィーチャーされている。物凄い過熱で、JATPのレスターを思い出だすうちにイリノイ・ジャケーの“汽笛”まで繰り出してくる。リッチーらしからぬ珍プレイだ。

Dマリアンヌ(リッチー)
元はカリブ民謡で、1950年代の終わりにモダン・フォークの連中がとりあげてヒットした。ロリンズ流のカリプソ調で大らかに歌いあげている。太いトーンとロリンズ風にテイトと思いかねないが、モダンなアプローチがそれを打ち消す。これもリッチーにしては珍しいプレイだ。

Eマイ・ファニー・ヴァレンタイン(リッチー)
マイルス・デイヴィス(tp)、フランク・シナトラ(vo)の名演名唱で知られるヴァレンタイン・デイ特需のバラードだ。ソロはロウがとり、リッチーはテーマ吹奏に徹する。ロウはこの日一番の頑張りを見せるが、リッチーらしい内省的な語り口のほうが印象に残る。

Fジャンピン・ウィズ・シンフォニー・シッド(リッチー&テイト)
レスター自作のブルースだ。1946年の初演後、多くのモダン派がとりあげ、ジャズ・スタンダードになった。テーマ→テイト(8コーラス)→リッチー(11)→テイト(9)、テイトが先発の4小節交換(6)→2小節交換(3)→テーマ(2)という展開だ。ホンカー流の囀りを交えて演奏をヒート・アップするテイト、対照的に抑制を効かせつつもレスター節を交えて快適にスウィングするリッチーと、ラストを飾るにふさわしい熱演だ。

(2009.8.1. 林 建紀)
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