『ア・ヴィンテージ・イヤー』/メル・トーメ&ジョージ・シアリング A Vintage Year/Mel Torme & George Shearing

フランク・シナトラ Frank Sinatra SSJ Presents CD

sinatra society of japan

Frank Sinatra フランク・シナトラ

スタンダード・ヴォーカル、ジャズ・ヴォーカルのトップ・スター=フランク・ シナトラ。
シナトラ・ソサエティ・オブ・ジャパン(Sinatra Society of Japan)は、 1981年12月13日、
シナトラの67歳の誕生日の前日、 つまりアメリカ時間で当日に、 熱心なシナトラ・ファン4人によって設立されました。

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TOPSinatra Society of Japan presentsスタンダード・ヴォーカル・アルバムの復刻・発掘>『ア・ヴィンテージ・イヤー』/メル・トーメ&ジョージ・シアリング

『ア・ヴィンテージ・イヤー』/
メル・トーメ&ジョージ・シアリング
A Vintage Year/
Mel Torme & George Shearing
特別価格
(XQAM-1007)
Concord 原盤
1987年録音 紙ジャケ初登場
>>購入する  

   コンコード・レーベルと契約したメル・トーメがジョージ・シアリングとの黄金コンビで発表した6枚のアルバムは大傑作揃いだが、ウィットと楽しさ溢れるアルバムとなればこのライヴ盤だ。随一の聴きもの「ニューヨーク・ニューヨーク・メドレー」を筆頭に、夏の屋外という開放的なシーンも影響してか、闊達でユーモアあふれるステージを展開する。
 


1. Whisper Not 〜 Love Me or Leave Me/ウィスパー・ナット 〜 ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー >>試聴
2. Out of This World/アウト・オブ・ジズ・ワールド>>試聴
3. Someday I'll Find You/サムデイ・アイル・ファインド・ユー (*)>>試聴
4. The Midnight Sun/ミッドナイト・サン >>試聴
5. New York, New York Medley/「ニューヨーク・ニューヨーク」メドレー>>試聴
6. The Folks Who Live on the Hill/丘の上に住む人々>>試聴
7. Bittersweet/ビタースウィート (*)>>試聴
8. Since I Fell for You/シンス・アイ・フェル・フォー・ユー>>試聴
9. The Way You Look Tonight/今宵の君は>>試聴
10. Anyone Can Whistle 〜 A Tune for Humming/エニワン・キャン・ホイッスル 〜 ア・テューン・フォー・ハミング (**)>>試聴
11. When Sunny Gets Blue/ホエン・サニー・ゲッツ・ブルー>>試聴
12. Little Man You've Had a Busy Day/リトル・マン・ユーヴ・ハッド・ア・ビジー・デイ>>試聴

                   パーソネル: メル・トーメ(vo) (*)(**) をのぞく
                            ジョージ・シアリング(p)
                            ジョン・ライサム(b)(**)をのぞく
                            ドニー・オズボーン(ds)(*)(**)をのぞく

 


 
    名門ポール・マソーン・マウンテン・ワイナリーはフランスから来たポール・マソーンによって1905年にカリフォルニア州サラトガに開かれた。毎年6月から9月のシーズンになると著名なアーティストを招いて、歴史の刻まれた石造りの建物の前にある1500席を超える野外劇場でコンサートを開き、シリコンバレーを中心に遠くサンフランシスコからも多くの音楽ファンが集まる名物ワイナリーとしても有名だ。本作『ア・ヴィンテージ・イヤー』は1987年8月に行われたメル・トーメとジョージ・シアリングによるダブル・ビリングのコンサートを収録したものである。  
メル・トーメとジョージ・シアリングはコンコードから6枚の共演盤を発表したが、録音順に並べると次のようになる。

(1) 『イヴニング・ウィズ・ジョージ・シアリング&メル・トーメ』(1982年)
(2) 『トップ・ドロウアー』(1983年)
(3) 『イヴニング・アット・チャーリーズ』(1983年)
(4) 『エレガント・イヴニング』(1985年録音)
(5) 『ア・ヴィンテージ・イヤー』(1987年録音)
(6) 『メル&ジョージ・ドゥー・ワールド・ウォーU』(1990年)

以上のように、『ア・ヴィンテージ・イヤー』とタイトルされた本作は共演5枚目にあたる。このうち (2) と (4) はスタジオ録音で、他の4枚はライヴ・レコーディングである。(1) はサンフランシスコの丘に建つ高級ホテルのマーク・ホプキンス(ヒッチコック映画『めまい』の舞台に使われた)のショウルーム「ピーコック・コート」、(3) はワシントンDCのクラブ「チャーリーズ・ジョージタウン」、本作 (5) と (6) はポール・マソーン・ワイナリーでのライヴである。(1) と (3) のライヴはともにしっとりとした上品な雰囲気の中でのパフォーマンスだったが、『ア・ヴィンテージ・イヤー』は同じライヴでも、真夏の昼下がりの屋外という開放的な環境とより多くの聴衆を前にしているので、闊達でダイナミックなショウになっている。  

メル・トーメの歌に対する豊富な知識と見識は他のシンガーやミュージシャンたちを圧倒していたが、それは彼のメドレーを聴くとよくわかる。1987年の秋にニューヨークの「マイケルズ・パブ」で彼のライヴを観た時は、その年の4月に亡くなった親友のバディ・リッチと6月に亡くなったフレッド・アステアへのトリビュートだったが、中でもアステアに捧げられたメドレーのセンスのよい選曲と構成、圧倒的なパフォーマンス、そして楽しさには完全にノックアウトされた。トーメの力量が遺憾なく発揮されるのはライヴだったと断言してよい。彼は屈指のジャズ・シンガーであると同時に超一流のエンターテイナーでもあった。本作でいえば「ニューヨーク・ニューヨーク・メドレー」である。  

『ア・ヴィンテージ・イヤー』の出演者は、メル・トーメ(vo)とジョージ・シアリング(p)のほか、トーメが最も信頼を置いていたドラマーのドニー・オズボーンと、当時のベーシストだった左利きのジョン・ライサムである。なお、オリジナル盤はLP(CJ-341)とCD(CDD-4341)でリリースされたが、時間の関係でLPには E と F が収録されてなかった。 それでは、1992年の秋以来、14年ぶりのリリースとなるメル・トーメとジョージ・シアリングの傑作アルバムをじっくりとお楽しみいただきたい。







【 曲目 】

(1)ウィスパー・ノット 〜 ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー
「ウィスパー・ノット」はベニー・ゴルソンが作曲したジャズ・スタンダード。ジャズ評論家のレナード・フェザーが歌詞を書いている。トーメは1962年のアルバム『カミン・ホーム・ベイビー』(アトランティック)でも歌っていた。モダンなフレージングで軽快にスイングし、途中でガス・カーン(作詞)とウォルター・ドナルドソン(作曲)1928年の歌「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」をはさむ。

(2)アウト・オブ・ディス・ワールド
1945年にジョニー・マーサーが作詞、ハロルド・アーレンが作曲した。英文ジャケットのクレジットではコール・ポーター作となっているが、ポーターに同名のブロードウェイ・ミュージカルがあるので混同したのか。

(3)サムデイ・アイル・ファインド・ユー

イギリスのノエル・カワード1930年の作品で、翌年カワードとガートルード・ローレンスがレコーディングした。シアリングとベースのジョン・ライサムのデュオ演奏。

(4)ミッドナイト・サン
1947年にライオネル・ハンプトンとソニー・バークが作曲、1954年になってジョニー・マーサーが歌詞をつけた。こってりと演奏あるいは歌われる場合が多いが、トーメは十分にフィールしながらも彼独特のリリシズムで爽やかに歌い上げる。バックのサポートも秀逸。

(5)ニューヨーク・ニューヨーク・メドレー
ライザ・ミネリが主演したミュージカル映画のタイトル曲「ニューヨーク・ニューヨーク」のイントロが始まると観客は大喜び。だがトーメは1917年に出版されたエドガー・レスリーとE・レイ・ゲーツ作詞、ジョージ・マイヤー作曲の「フォー・ミー・アンド・マイ・ギャル」を歌いだして爆笑を誘う(英文ジャケットの曲名・作詞者・作曲者クレジットは誤り)。途中で1914年にハーバート・レイノルズが作詞、ジェローム・カーンが作曲した「ゼイ・ディドゥント・ビリーヴ・ミー」(英文ジャケットにクレジットなし)に移り、「マック・ザ・ナイフ」に変わる。1928年ミュージカル『三文オペラ』のためにベルトルト・ブレヒトが作詞、クルト・ワイルが作曲したドイツ語のナンバーで、英詞は1954年マーク・ブリッツスタイン。「ブルースの誕生」はバッド・デ・シルヴァーとルー・ブラウンが作詞、レイ・ヘンダーソンが作曲した1926年の歌で、サミー・デイヴィス・ジュニアのオハコ。「センド・ア・リトル・ラヴ・マイ・ウェイ」はバート・バカラックとのコンビで有名なハル・デイヴィッド(作詞)が珍しくヘンリー・マンシーニ(作曲)と組んだ1973年の歌で、アン・マレーが歌った。「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」はナンシー・ハミルトンが作詞、モーガン・ルイスが作曲した1940年の曲。トーメは月をテーマにした1960年のアルバム『スインギン・オン・ザ・ムーン』(ヴァーヴ)で歌っていた。ここに来るまで「ニューヨーク・ニューヨーク」のイントロを鳴らし続けていたシアリングに催促され、トーメはようやく「ニューヨーク・ニューヨーク」を歌い出す。フレッド・エッブ作詞、ジョン・キャンダー作曲。後半でグレン・ミラーの「ムーンライト・セレナーデ」風なバッキングや、最後にアドルフ・グリーン&ベティ・カムデン作詞、レナード・バーンスタイン作曲のもうひとつの「ニューヨーク・ニューヨーク」を加える大サービス。

(6)丘の上に住む人々
一転、しっとりとしたバラードになる。1937年にオスカー・ハマースタイン2世の作詞、ジェローム・カーンの作曲。トーメは1964年のバラード集『ザッツ・オール』(コロンビア)や1980年のライヴ盤『メル・トーメ・アンド・フレンズ』(フィネス)でも歌うなど、愛唱歌のひとつ。。

(7)ビタースウィート
ジャズ・ベーシストのサム・ジョーンズの作品で、1979年の自身のアルバム『ザ・ベーシスト』(インタープレイ)でケニー・バロン(p)、キース・コープランド(ds)とのトリオで録音を残したが、この時のタイトルは「Bittersuite(ビター組曲)」だった。ピアノとベースのデュオ・トラックで、ミディアムでスイングするシアリングのタッチがエロール・ガーナーを想起させる。

(8)シンス・アイ・フェル・フォー・ユー

バディ・ジョンソン1948年の作品。トーメは辛口で引き締まった語り口と豊かなブルース・フィーリングで素晴しい歌を展開する。シアリングのタッチもいつもに比ベて黒っぽい。

(9)今宵の君は
ドロシー・フィールズが作詞、ジェローム・カーンが作曲した1936年の歌で、同年のミュージカル映画『スイング・タイム(有頂天時代)』でフレッド・アステアが紹介し、同年度のアカデミー主題歌賞を受賞した。1956年のアステアヘのトリビュート・アルバム『メル・トーメ・シングズ・フレッド・アステア』(ベツレヘム)で歌っていた。得意のスキャットをまじえアップテンポでスイングするが、あくまで品格を重んじた折り目正しい歌い方に好感がもてる。

(10)エニワン・キャン・ホイッスル 〜 ア・テューン・フォー・ハミング
シアリングは「印象派風に弾いてみます」といって、スティーヴン・ソンドハイムの「エニワン・キャン・ホイッスル」とフランク・レッサーの「ア・テューン・フォー・ハミング」をソロで演奏する。聴衆もシアリングの感動的なプレイに完全に心を奪われているようだ。

11)ホエン・サニー・ゲッツ・ブルー
ジャック・シーガルが作詞,マーヴィン・フィッシャーが作曲した1956年の歌で、ジョニー・マティスのコロンビア盤がヒットした。元来はバラードだが、トーメは抜群のリズム感で小気味よくスイングするも、曲のもつ温かみや優しさは失っていない。

12)リトル・マン・ユーヴ・ハッド・ア・ビジー・デイ
「1980年代に聴くには古くさいかも知れませんが、ジョージも私も大好きなので」といって歌い出すのはアル・ホフマンとモーリス・シグラーが作詞、メイブル・ウェインが作曲した1934年の曲。1950・60年代のトーメだとこの種のバラードはテクニックが先行して平板になることもあったが、今は叙情性溢れる歌を聴かせる。



(2006年10月23日 三具保夫)
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